Wednesday, 9 July 2008

略奪都市の黄金

フィリップ・リーブの移動都市シリーズ、「移動都市」の続編。頬傷の少女ヘスターと、もと博物館職員見習いのトムのお話。

前作もそうなんだけど、子供向けのめでたしめでたしのお話では全然ありません。だいたい、前作で、あんなにたくさん殺しちゃうから、続編であきらかに困っている感じだし。アナ・ファンだよなぁ。やっぱり。今回もアナ・ファンの話が結構出て来てうれしいんですが、アナ・ファン主人公で書いて欲しいです。

前作をほとんど覚えていないんですが、ヘスターってヴァレンタインの娘だったのか。前作は復讐劇で殺しまくる話だったんだが、その復讐の理由に関しては、あんまり親身になれないっていうか、覚えている必然性がないので忘れてました。

心の美しい美少女が活躍するのではない、醜い傷を持った少女が心も冷酷に歪んでいくというのが、むしろリアル。男は醜女にも惚れるものなんだが、なんでなのかは自分でも良くわからない。別に無理に追う必要ないんだが、なんとなく気にかけちゃうあたりで、既に負けてます。好きになること自体が好きなんだよな。トムの気持は男の子だった頃を思い出すて理解できます。

ヘスターが考え出す残酷な計画、そして、アンカレッジでの華麗かつ残虐な活躍、それがアンカレッジのお姫様フレイア・ラスムッセンと対比されているのが幾何学的に美しいと思う。「明るくて、固くて、透明な気分。...まるでガラスみたいな」トムが何も知らないのが唯一の救いか... トムが裏切ったら、絶対、殺されちゃうね。ハッピーエンドが相応しくない女性は、見掛けではない美がある。善と悪、表と裏、フレイアと良いコンビになる予感がする。

あと二巻あるらしいです。楽しみです。もしかすると、ヘスターの死樣を楽しみにしているのかも知れない。絶対、幸せになれないと思う。

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