なんだけど、選択公理をパスするといろいろ気まずい。最初にはまるのがチコノフの定理。コンパクト集合の直積はコンパクト。コンパクトってのは、任意の無限被覆が有限部分被覆を持つって奴で、要するに「端っこが x < 1 とかではなくて、x <= 1 の形になっている」ってことなんだと僕は理解してます。そんなんだから、位相空間論がぼけぼけなんだよ。いやでも、チコノフは選択公理と同値なので、「チコノフの定理は公理とする」でも良いらしいです。
直接的には微分方程式の解の存在を証明する時に困るらしい。って、そんな証明やったことないし。いや、やったかな。
とかなんとか、そんなような理由で避けてました。避けても、それほど困らないです。
選択公理は「集合の集合の要素全てから、一つずつ代表元を取って来て、一つの集合を作ることができる」って感じ。あるいは、そういう選択関数があるってこと。問題は、取って来ることではなくて、
取って来たものを集めたものが集合かどうか
なんじゃないかと思います。集合論は「全ての集合の集まり」を集合とすると破綻することが知られていて、実際「自分自身を含まない集合の集合」を考えると矛盾してしまう。と言うことは、
前もって集合と呼べる集まりは決まっている
ってこと。なので、集合になるとは限らないらしい。確かに1次元の開集合の直積から何かを作っても、それが二次元の開集合と一致するとは限らない。ラッセルがあげた例は、
靴の集合から右靴だけを集めることはできるが、靴下の集合からはそれができない
ってな例らしいです。いや、それが選択公理の反例になっているとは思わないけど、関数とか集合とかの定義によるってのはなんかわかる。
特に、すべての集合が、φ、{φ},{φ,{φ}},... として作っていくような集合(順序数と言う)と同じようになってないと気まずい。で、すべての集合が、そういう順々に並べられるとするというのを要求(整列可能定理)するのと、選択公理が同等なのだそうです。まぁ、確かに整列してあれば、選択公理は自明だ。 でも、φ、{φ},{φ,{φ}},... としてずーっと作っていて、それをωとするよね。それから、ω、{φ,ω},... とかするので、かなりインチキっぽいです。
でもωから先を作らないと実数を議論できない。実数は、数字を無限に並べたものだから。数学者は、実数を議論したいわけなんだけど、それを有限の記号からどう議論して良いのかがわからない。その一つの方法が、選択公理であり、整列可能定理なのだと思います。ただし、選択公理が唯一の可能性ではないらしい。実際、選択公理が成立しない集合論のモデルと言うのを作れる。
今は、そこを復習しているところです。無限個∈をつなげたモデルを考えて、それを制限してみたいな感じでモデルを作るらしい。
ある意味では、選択公理は数学者の実数へのあこがれみたいなものなのかも知れないね。
モストフスキー同型定理が激難です。むぅ。
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