Tuesday 27 January 2009

時間封鎖 SPIN __ R.C.Wilson

Wilson氏は、横浜のWolrd conに来てたのか〜

結構、一気に読んでしまいましたが、一気に読んだのは、人間関係/政治関係部分を読むのが微妙だったからです。意図的に、時間順序を変えた書き方にしてますが、読みにくいだけで成功してないと思う。

時間傾斜を持つ膜で地球が封鎖される話なわけなんですが、これって一つの分野だと思う。宗教的な終末思想のSF版だよね。リバーワールドシリーズとか。Day World もそうかな。階層宇宙も近いし。あとはゲイトウェイシリーズかな。

宇宙的なスケールのイベントがほいほい進むので、人間関係部分が矮小に見えます。実際、あんまり関係ないとも言えるし。

スターゲートの世界を作る話でもあるんですが、小道具も似通っている部分がある。アメリカが未来技術を独占するところとか、リプリケーターとか。もちろん、スターゲートの話とは、全然関係ないけど。

あとがきでイーガンの「宇宙消失」と比べる話がありますが、悪いけど比べられるような話ではないと思う。訳者が宇宙消失を理解できなかったのは仕方がないとは思いますが。まったく異なる話です。

アイデアは面白いけど、一つ一つは小粒だと思う。でも時間傾斜が、それを目撃することを許しているのが面白いです。全然成長してない人類(と少し進んだ人類)が、火遊びしている感じでもある。

SPIN自体が都合良すぎる。人類に取って都合良すぎるので、作りものっぽいです。「宇宙消失」には、そういう欠点はない。時間傾斜を作るのは重力あるいは速度が簡単ですが、無理筋だと思う。特に地球だけというのが無理すぎ。

SPINには膨大な時間とエネルギーが費されるわけだけど、それが「人類のため」ってのには、あまりに説得力がないってことだな。これほどの力があれば、他の選択肢があると思うし。

とかなんとか、全体的に整合性に欠けるのと、話が一直線な割りに人間側が回り道しているとかで、読み飛ばしたってところです。

謎解きパターンが小説の構成にたがをかけている感じ。時間順序を変えるなら、最初にネタバレしてしまった方が自由度は高かったんじゃないかなぁ。続編二つ(Axis, Vortex)には、そういう制限はないと思うので、期待します。

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