Sunday 6 December 2009

宇宙船オロモルフ号の冒険

石原藤夫ですが、これは古い。でも、再版はあったはず。手元にあります。SFマガジンで読んだはずです。代表作と言って良いんじゃないでしょうか。

数学、特に複素解析とカタストロフィーをアナロジーにしたSF。もちろん、ヴォークトの「宇宙船ビーグル号の冒険」を踏まえてます。

内容的にどうかと言うと微妙。いや、小説じゃないです。物語があるわけじゃないから。円城塔とかと同じで、技術用語の遊びみたいなものです。

fj には「あとがきに、「初等数学の質問や講義を送ってくるな」とあったのが笑えました。」と書いてあるなぁ。

オロモルフは、正則関数つまり、Holomorphic Function の Holomorph です。Oromorf とか、Wikipedia には書いてあるが、間違いでしょう。Homomorphism でも「ホモ」だし、Homology でも「ホモ」だから、ホロモルフィックだと思うんだよな。ググリまくると「フランス語のHolomorphicのO」とか言うのが出て来る。フランス語は語頭のHを発音しないので、フランス語読みだとオロモルフになるのだと思います。

ネタばれになりますが、敵がプラスとマイナスからなる特異点を作って来るのに対抗して、オロモルフ号は、正則性を武器に戦うってな設定です。

確か、地球より大きいはずなので、かなり巨大な不定形宇宙船です。中で起こる管理者と研究者、技術者の対立のモデルは横須賀通研だってな話ですが、本当かどうかは知りません。

これ、設定をそのままに色んな作家に書かせたら面白いかも。

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