僕が勉強した頃は Higgs 機構と呼ばれてました。真空の対称性の破れが質量を生むとか、もっともらしいんだけど。対称性の破れと言っても、|0>を真空、Φを状態として、
* <0|Φ|0> = c, c!=0 (c は定数)
ってだけなんだけどね。普通は0なんだけど。
この話は、ちょっとめんどうで面白い。対称性の破れから予測される粒子は、Nambu Goldstone Bozon なんだけど、質量0でスピン0。そんなものは存在しないので、みんながっかりした。だけど、この粒子は非常にゆるい仮定のもとに出てきてしまう。 Nambu Goldston Bozon は存在しないというわけではなくて、相互作用するんだけど非物理的ものだとすると良くて、その仮定から色々な質量を持つ粒子が出てくるってのが Higgs 機構なんだと理解してます。なので、極めて技術的な話。 いろんな場はあるんだけど、人間が観測できるものは限られているということか。今回見つかったのは、Nanbu Goldstone Bozon ではありません。
別に質量は Higgs 機構だけから生じるわけではないんだけど、そういう風に説明されるのがなんか不思議。標準理論は、
* Gluon + Higgs + Lepton + Quark
のラグラジアンの和で、Quark の質量は Higgs 機構とは関係ない。関係するのは WボゾンとかZボゾンの一部の質量ですね。Lepton は Higgs 場があっても質量0。光子とか。いや、もちろん、すべての質量が Higgs 機構から出るとかだったらかっこ良いとは思うけど。
マックスウェルが電磁場の方程式を考えた時にも「小さな歯車」みたいなのを考えて説明しようとしたみたい。それは、もちろんシロートさん向けだったのかも知れないけど、アインシュタインが指摘したように、空間とか時間とか場とかは、
* そういう方程式を満たすもの
であって、それ以上でも、それ以下でもないと思う。そこに変な日常的な直観を持ち込んでもダメだってことだと思います。
むしろ、ニュートン力学を理解する場合でも必要なのは、
* 日常的な直観を捨て去る
ことだと思う。直接的には「圧力として感じる力」とか「暑さ」とかだな。その代わりに
* 物理的な直観
を見に付ける必要がある。具体的には「永久運動はない」とか「対称な力学系なら、運動も対称的」とかですね。それがわかれば、というか、それから、ほとんどものがでるとわかれば、力学はわかったことになると思います。いや、実際には、そこに恣意的に決めたように見えるラグラジアンがあるわけだけど。
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