Friday 15 September 2006
テンソル積の話
数理解析研究所の長谷川さんがいろいろ話していたが、5年前と同じ発表だった。どうでもいいんだけど、そこで、テンソル積って話が出て来たので、それに関連する話を少し。
テンソルってのが出て来るのを初めて聞いたのは一般相対性理論の入門書だと思う。ベクトルとか行列に近い概念だってのはすぐにわかったんだけど... そこで読み始めたのが、外れの本でさ... つまり、岩波の基礎数学シリーズ。そこで、最初に出て来るのが...
(x-x)(y-y)....(z-z)
みたいなかっこをした式なんだよね。これがさっぱりわからん。普遍性がどうのこうのという文脈で出て来るわけなんだが... 結局、行列と何が違うんだよ。
でも、後で別な本、
テンソル解析入門, 武藤義夫
ベクトル とテンソル, 安達忠次
あたりだったと思うんだけど... を読んでわかったのは、
テンソルとは、多重線型写像
のこと、つまり、複数引数の関数で、それぞれの引数毎に線形性、つまり、「引数が2倍になれば、値も2倍になるという性質」のあるものでしかないってことでした。つまり、岩波の本にあった、そのほげほげな式は、実は、テンソルを理解するのには、まったく不要だったってこと。
それが理解できたら、その関数が座標系に関係なく意味があるってのがわかる。ってことは、座標系に依存した表現があれば、それは、座標変換によって特定の変換を持つってことも自明。そして、その普遍性だなんだかんだは、簡単に表現できる座標系を選んで見れば、y = x とか y = - x でしかないとこも一発でわかりました。なんだよ。それ。ってことは、行列で表された多重線型写像もあるので、そういう意味では、行列とテンソルってのは同じものだってこともすぐにわかりました。あ、なーんだ、ってな、そんな話。
そこまでわかったら、ディラックの一般相対論の本はすらすら読めました。
http://tinyurl.com/n5xsf
このあたりがわかりやすいか。
岩波の基礎数学シリーズってのは、勉強し終った後に「ふふん」とか言いながら読み直すものだと知ったのはずーっと後のことです。
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