Tuesday 1 April 2008

ゴールデン・エイジ J.C.ライト

三部作読み終りました。哲学に転んだE.E.スミスを目指した?

面白かったです。30代の頃に書いたらしいけど、若いな〜

人類の黄金時代の話で、ソフォテクという人工超知性体が、オブザーバー的な神として、改造された多様な人類と一緒に社会を作っている話。アリシアのメンターみたいな、あるいは、ギリシャ神話の神みたいなものだよね。人類の方も、ベーシック(シルヴァーグレイ、 レッドマノリアル)、 ウォーロック、 セレベリン、インヴァリアントと脳の構造や主義によって分かれているし。

おかげで、最初は生硬。でも、ダフネが出て来て説明したその後は、割とわかりやすく一直線な筋書きになります。敵を探すために「二本目の線を探す」とかは、もちろん、レンズマンのあれだし。敵の設定も面白い。

第二部の、一文無しで追放された主人公が不屈の精神で立ち上がるとか、わかりやすくて泣いちゃいます。

第三部になると、哲学と数学を学んだ著者らしく、哲学論議に突入します。道徳と多様性、カオスと構造、社会と個人のリスク、父と子。道徳に関する論証とかも若々しくて良いです。それが敵との戦いの本質であるのはすばらしい。きちんとワイドスクリーンバロックしてくれるのも、お約束だし。

第三部のアトキンスとファエトンの物理的な戦いの描写もすばらしい。

ファエトンとダフネのロマンスも良いですが、ちょっと男に都合良すぎかな。勇ましい女性って良いよね。(夫婦喧嘩は、ちょっと外挿どうしにやらせておいて、あたりが便利だと思った)

裁判のシーンとか、超越のシーンとかで、妙にたくさん(どうでも良い)キャラクターが出て来るのは、神話を意識してか? でも、少ないキャラクターで話が進むよりは、自然なのかも知れない。

単一構成で、この規模のSFは、と言うと、レンズマン、砂の惑星、指輪物語、ファウンデーション、遠い神々の炎あたりか? アースシー、ナルニア国物語とか? 十二国記とかが、完結すれば匹敵するかな〜 全体の構成を失って、だらだら書き続けているものはたくさんありますけどね。エンダーとか銀河なんとかとか... 銀英伝を、そんな風に言うと刺客が送られそうだが。

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