Friday, 3 March 2006

量子力学...



(某氏の仕事から微妙に逃避しつつ書いてますが... 査読三つの催促も来てたしな... ま、一つ一つ片付けよう)

http://homepage3.nifty.com/iromono/

って琉大の先生なのね。そこある量子力学の教科書に Srendi がlinkを貼っていたので、ちょっと読んでみました。

量子力学の教え方には色んな道筋があるんだけど、プランクの量子(エネルギーが不連続であること)の発見から始めるのは、結構、難しい方だと思う。朝永振一郎の教科書が、そういう形式。数学的なツールが微分方程式だし、内容は高度な古典物理を含んでるし... たぶん、前野さんが最初に学んだのが朝永先生の教科書なんでしょう。

何を量子力学の基礎に持って来るかにも色んな自由度があります。不確定性を最初に持って来る方法もあります。一次変換で物理量を表してやって、そこに非可換性を導入するっていう方法もある。実は、どっちも同じ。なんだけど、そこに「状態が点ではなくて、領域」みたいな幾何学的な概念を持って来るのは、本当はいけないのだと思う。理解は助けるんだけどさ。

幾何学的なイメージは、まさにイメージであって、人間の視覚に縛られている。なので、物理とか数学とかプログラムとかを理解するのに、イメージを使うのは、実は思考を限定してしまう。そこから抜けでないと、量子力学とかは理解できないんだと思う。その上で、図とか絵とかを再導入するわけなんだけね。

僕は、物質波をE=hν、P=h/λで、無条件に導入しちゃう方が簡単で好きかな。ファインマンレクチャーもそんな方法で、波の性質と入力状態と出力状態の重ね合わせのみから、導出して見せます。これは経路積分から導入する手法と言えると思う。こっちの方が使う道具が易しい。exp とかけ算足し算、条件付確率ぐらいだから。なんだが、この方法の難点は「計算能力が付かない」こと。最後は、フォンノイマンみたいにヒルベルト空間の公理化から始める方法。これも計算力は付かないんだよね。

数十年前に前に、物理で公務員試験を受けたときに、論述で出たのが「水素原子のスペクトルを求めよ」。そんなものが出ると知っていれば、それなりに準備しましたが。まぁ、易しく答えても良かったんだが、一生懸命、球座標の微分方程式と試験時間中に格闘した記憶があります。やっぱり、試験で重要なのは計算力なんだけど、球関数とかって、かなり上級の計算能力を要求するんだよな。僕は、それほどの計算力はないので...

でも、やっぱり学卒の常識として、量子力学ぐらいは知っていて欲しいんだけどな。日常世界が多義的であって、色んな見方があり、しかも、それが近似を通して共存するという理論構成の一つだから。複数の自然言語を学んでも同じような体験するけど、論理や数学に対してもそういうものがあり、それが世の中の基本的な仕組みなんだと言うのを理解するのは重要だと思う。

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