「デフレは悪」の日記へのコメントのまとめです。mixi から許可を得て転載しました。
元の日記(再掲)
「デフレが悪」 って言うのは、まぁ、良いんですが、
円高が進んでいる状況で値下げするな
とは言いにくい。「日本は給与の下方硬直性があるから大丈夫」っての言うのは政府が率先して破った。そして、
公務員の給与をさらに下げろと言う人は多い
少なくとも下げないと言うのに賛成な人はいない
さらに、
準公務員でも、人事院勧告に沿って下げろ言う理事が多い
最低賃金引き上げ反対を主張する人も多い
一生懸命働いて給料上げてもらうって感じにはならないことは、就職する側もわかっていて、どうせ給料下がるなら、その分、楽な仕事が良い。と言うのが、他人の給料を下げても良いと言う世論に繋がっているのかも。もちろん、自分の給料が下がるのには反対するんでしょうけど、あんまり大きな声で言わない。だって、
給料の額よりも雇用が大切だから
ってことは、
日本国民は全体として、給与減主導のデフレを望んでいる
ってことなんじゃないかなぁ。それに逆らっても仕方ない気もする。流れに逆らう経済政策って成功しそうにないよね?
インフレターゲットとかの主張って、
机上の空論
だと思う。3%のインフレにしようとか言うだけで世の中が動くわけないです。それは、こんなところで「デフレは悪だ」とか書いて世の中が動かないのと同じ。 直接的には、
日銀の国債買取りを(インフレターゲットの分だけ)増やす
しかないと思うが、誰もババは引きたくないだろうな。総量規制よりは緩やかな経済政策だとは思いますが、怖いよね。
少子化でも成長可能って言うのは僕もその通りだと思いますが、学校に入る人は取りあえず減っちゃうので学校の成長はないです。
と言うことは、
「デフレで仕方がない。デフレで良いよ」
ってことで経済政策を考えた方が良い?
住宅ローンの金利が下がるのにしたがって家賃も下がっているはずですが、硬直なのは家賃だったりするので、
賃貸住宅の固定資産税を下げる
ってのは良いかも。
給与を上げずに、公務員を増やして可処分所得を増やす方が受け入れられやすいかも。
小学校を10人学級にする
非常勤なお巡りさんを交番に常駐させる
とかを失業対策にするとか思い付きますが。
結局、ばらまきなんだけど、BIとか最低賃金引き上げよりは、日本の風土に合ってるのかな?
コメント
ピート@夏への扉2010年10月15日 07:43
国民大多数の感覚として、「なんで俺たち/私たちが苦しんでいるのに、
俺たち/私たちが雇っている公務員が楽しているの」というのがあるんじゃ
ないかと思います。実際に楽しているかどうかはともかくとして、
報道でなんとなく公務員の給与のほうが自分たちより高く思えたり、
自分たちはボーナスも出ないのに当然のようにボーナスが出たりと。
主従逆転というか、やはり建前はともかくとして、自分たちは支配される側
にいるんだという感覚も「搾取されている感」を醸し出して「公務員の給与を
下げろ!」という世論になっていくのではないかと推測します。
まあ、実際に公務員になってみれば、感覚は違ってくるのでしょうけど。
現状を打破するには、成長させる以外ないと思うのですが、成長するには
財やサービスの消費を拡大させないといけない。そのためには個々の所得を
延ばすより需要全体を拡大させることが必要で、その文脈での子供手当も
これも子供持っていない人たちの嫉妬やっかみから駄目になりそうです。
どうなるんでしょうかね。行くとこまで行かないといかんのでしょうか。
kaz2010年10月15日 08:24
いっそプログラマを原則として公務員として雇えば良いと思う。ソフトウェアって、本来の
処理よりも、コピーガードや暗号化の方が桁違いにコスト・労力掛かってるのは生産性
無くて、無駄だもん。教師や警察・消防・徴税員と同様に雇ってくれんかなぁ。
あとデフレなのは、車や電器製品だけであって、食料や家賃はインフレです。それもカナリ。
住宅公団が解体・縮小されてURに成ってしまったのは明らかに失敗。大阪の果て、終点の
北千里から更に徒歩40分も掛かるド田舎の、クソ狭い(19m^2)学生向け1Rの家賃が
7〜8万円するってどうよ? しかも保証金50万円取った挙句、それとは別に火災保険や
連帯保証人まで求めるって、持てる人(地主)を甘やかし過ぎではないか。
阪大院出てもロクな職が無いからベンチャーやれ、って無責任なことを大学側は言ってる
が、工場どころかオフィスの家賃や連帯保証人をどう都合付けろと?
こんな社会システムの基では、学歴なんて本当に無意味。
ayumew2010年10月15日 09:29
河野さんの給料が減るのは時節柄もう致し方ないって気はしますけど、公務員増やさんといかんですよね。貧乏かつ仲間はずれな人ってのは制御できないので。
まえG2010年10月15日 16:53
デフレを所与として、個々のミクロな経済主体が最適な行動を取れば、さらにデフレが悪化する。合成の誤謬というやつですね。
だからこそ、個人の努力とか企業の努力ではどうにもならない。椅子をどんどん減らしながら「いかに厳しくても、イス取りゲームで勝つやつは常にいる。だから頑張れ」みたいな事しか日経新聞あたりは言わないけどね。
ところが、マクロ経済政策を行える政府・日銀に取っては話が全く異なる。
結局、デフレというのは物価(モノとお金の比率)の問題に過ぎないのだから、お金を刷れば必ず解消します。そして、個人や企業と違って日銀はお金を刷れる。なぜ日銀がやらないかというと、やらないのに誰も責めないから。今の制度では、日銀がデフレを放置しても何の責任も取らなくても良い。その責任を取らせる枠組み(インフレ率の制御に失敗したら総裁クビ)がインフレターゲット政策。現在、44カ国が採用して、インフレ率の制御の実績は十分。http://j.mp/dpd2nf
つまり、インフレターゲットは実現手段(通貨発行権)があるんだから絶対効きます。
そして、インフレターゲットがないと日銀にはデフレを解決する動機がない。
もし、いくらお金を刷ってもデフレのまま(←つまり、お金の価値が落ちない)とするならば、それはそれで素晴らしい(ありえないけどね)。だって、政府・日銀は無尽蔵の財源を手にしたことになるから。全ての支出を、通貨発行益だけで賄って、税金をゼロにすれば良い。いや、逆に全国民に年間1億円ずつ配ったって良い。それでインフレにならないというなら、日本はこの世の天国になるよね。
インフレになる(=デフレ解決)にせよ、ならない(=無税国家誕生)にせよ、素晴らしい話なんだからすぐやるべき。
(まあ、この辺の本http://j.mp/cKyASM にはたいてい書いてある話。)
shin2010年10月15日 17:59
インフレターゲットという手法自体は、狭義には高度のインフレからターゲットとなる低い数字までインフレ率を落とす話であって、デフレをインフレに戻す手法ではないですよね。で、デフレからインフレにするためには公務員を増やすとかばらまきとかいろいろ言われますが、通貨供給量を増やすわけですね。
そこに及び腰なのは、どこかでバブルになることが避けられないからでしょう。いまさら公務員と土建屋に金を与えるべきなのかとか、どこに得をさせてどこを切り捨ててしまうかという問題でもある。そんなことに責任を取らされたくないから、ばらまきをできないんだと思いますよ。 お金を刷っても、まずは銀行とか、儲けられる産業の濃淡は出てきてしまう。
僕は小沢一郎氏はもはや求心力を失いつつあると見ますが、民主党代表選挙で言ってた、特別会計を組み替えてでも、所得保障をやるべきだと思いますね。手法としては農家だけに限ったり、休耕地を増やすほどに補助がもらえる馬鹿なことになってますが、産業構造を変えてでもばらまきをやるときの発想としてはなかなかいいです。不公平感から反対する人が多いようですが、やり遂げてほしいものです。
そういう直接的なばらまきができないなら、やっぱり産業の濃淡をつけて公共事業的にやるしかないですが、そんな産業を政府が選べますかね?国債買取などの手法もありますが、利率が上がって個人や銀行の財布が潤い始めて、消費に回り始めて、金融バブルがおきてということを一巡してからやっと税収が上がるのですが、そんなことでいいんでしょうか?金融バブルを作ってまた落ち着くのを待っておしまいでしょうか?なんか、80年代的バブルで、あまり形として残らない気がします。
公共事業のひとつは、最大の産業になっている情報産業に投資でもして、電子政府を今度こそやることだとは思いますが、今でも無駄遣いといわれている電子政府関連に納得のいく投資ができるでしょうか?誰かがやらないといけないわけですが、納税者番号制度すらできてなくて、本当にできますかねえ。
そういうわけで、あまり政府とかには期待できないので、お金がほしい人は民間で勝手に儲けるしかないんじゃないですかね。それができなければ、公務員として賃金据え置きをずっと繰り返していくしかないと思います。民間より高い平均給与はやっぱり悪だと思います。儲けられるなら、それが公共事業だとしても、民間でやるべきです。
shinji2010年10月15日 18:50
「政府が何もしなくても*みんなが頑張れば*解決する」って言うのが合成の誤謬そのものな気がする。
給料上げて景気が良くなるのが悪だってのは、新鮮な主張ではある。
まえG2010年10月15日 19:10
>インフレターゲットという手法自体は、狭義には高度のインフレからターゲットとなる低い数字までインフレ率を落とす話であって、デフレをインフレに戻す手法ではないですよね。
デフレ脱却(回避)のためのインフレ目標には、スウェーデンやニュージーランドの例がありますね。
>通貨供給量を増やすわけですね。
目標を実現する手段ですね。一応、インフレ目標というフレームワークとは別の話ですが。
で、
>公務員を増やすとかばらまきとかいろいろ
というのはちと違います。これは、政府の支出(と収入のバランス)をいじる話。財政政策ですね。日本に存在するお金を増やすか減らすかとは、やはり一応別の話です。
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厳密な線引きが出来ない領域もありますが、
「世の中の通貨量を増やすことによって実質金利を下げ、投資需要を刺激する」のが金融政策。
「政府が直接に支出して需要を作る」のが財政政策。
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で、デフレというのは基本的に通貨量が足りなくて実質金利が高くなる(名目金利をゼロにしても、負のインフレ率を差し引くと高い金利になる)問題ですから、本質的な解決策は金融政策の方です。
財政政策もやればいいと思いますが、金融政策なしに財政政策(補正予算とか)をやったとすると、実は円高がひどくなってデフレが悪化する恐れがあるんです(マンデル=フレミングの定理というやつです)。
つまり、金融政策は必須。財政政策はオプションです。
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通貨発行量を増やすには、普通は日銀が資産を公開市場オペで買い入れて、引き換えに通貨を市場に放出することになります。買い入れる資産としては、なるべく不公平をもたらさないようなもので額がたっぷりあるようなものということで国債が適切でしょう。
日銀は、なぜか国債の買い入れを全く増やそうとしていません。実は、リーマンショック以後もごく最近まで、国債保有量を減らしていたほどです。http://j.mp/aV5nI2
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その他に、社債を買うとかETFを買うとか外貨資産を買うとかいう話もあります。この場合、国債と違ってデフォルトリスクや値下がりリスクがありますが、それを政府・日銀が負担することになりますので、財政政策に近い金融政策ということになります。(国債より市場規模が小さく、また、何を買うかで不公平が生じるのもちょっと難点です。)
さらに、日銀が刷ったお金を財源として政府が財政政策(公共事業とか給付金とか)を行うというのも、金融政策と財政政策の組み合わせということになります。国の財源には税・国債・通貨発行の3つがありますが、最後のやつを使うわけです。
公共事業でも、たとえば全ての学校の耐震補強とか、首都圏の混雑緩和とか、有用性が高い事業はあるでしょうが、抵抗が強いなら給付で良いのではないでしょうか。
この場合、有効なのは失業者や低所得者への給付でしょう。米英で以前から行われており、日本でも検討しているEITC(給付付き税額控除; もともと税金を払っていないような低所得者には、賃金収入に加えて国から補助金を給付する)や失業保険の延長や、現行の雇用調整助成金の拡大、中小企業への融資拡大なんかも有効でしょう。
これらを十分な額で行えば、必ずデフレから脱却できます。
脱却できない(=お金をいくら刷っても価値が落ちない)とすれば、いくら減税や財政支出を行っても、国債残高は全く増えず、結果は無税国家誕生ということになります。それはそれで素晴らしいですから、いずれにせよやらない理由がないでしょう。
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さて、産業の濃淡を付けた公共事業(たとえば、これから重要な成長産業を重点的に補助する)とかは、産業政策(industrial policy)と呼ばれますが、経済学者はこぞって反対のようです。
http://tinymsg.appspot.com/6jU
kaz2010年10月15日 20:13
>経済学者はこぞって反対のようです。
何故ですかね? 聞いたことも無いマイナー私学の教授達が、外国の事例や論文を引用
して、既存の生産性の低い衰退産業界の既得権益を死守しようとしてるようにしか読め
ないけど。
こんなことしてるから、当時、医学部以外で1番優秀層だった情報系出た学生が軒並み
鬱病・自殺に追い込まれて、そして今バイオ系が路頭に迷ってるんですよね。
国家の投資として最悪の結果を招いてる現実を、猫以下の経済学者の言いなりにしと
いて良いの? 北欧やNZが成功したのも、単純に成長分野にヒト・モノ・カネを配分した
だけの結果だと思うんだけど。
ピート@夏への扉2010年10月15日 20:41
財政出動でどうにかなるというのは、
ニューディールの失敗で証明されたと思います。
国家の介入でどうになるというのは幻想にすぎないかと。
どこかの誰かの給料を単純に上げたり保証したりというのも
違うと思うのです。消費が冷え込んでいるのは金回りが悪い
というのは皆認識しているかと思いますが、じゃあ金をバラまけば
消費が増えるかというとそうでもない。
何故なら、増えた所得はそのまま貯蓄にまわってしまうからです。
次のような期待というか予測が成り立たないと消費は増えないし、
経済の復興もままならないんじゃないでしょうか。
・将来的にも所得が増える。
・収入の安定がある程度保証される。
・全体的に需要が拡大する。
・以上のことが財政危機を伴わず実現できる。
どれかひとつでも不安定要素があると、預金したり金を買ったり
と金が変な方向にいくと思います。
まえG2010年10月15日 21:21
kazさん:
>聞いたことも無いマイナー私学の教授達が
えーと、マンキュー(ハーバード)がですか?
ラムザイヤー(ハーバード)、三輪芳朗(東大)、竹内弘高(一橋大)、ワインシュタイン(コロンビア)が?
まあ、その、この辺ははっきり結論が出てる話でして。
・政治家や役人や学者に、「この先成長する分野を、市場より上手に見抜く能力」などない(あるならビジネスマンになった方が良い)。
・ビジネスマンに聞くと、当然みんな「自分の利益になる分野」を提案するし、それらの提案のどれが正しいかを見抜く能力は政治家や役人や学者にない。
・結局、政治権力に取り入って提案を通す競争(レント・シーキング)になる。この努力は生産的でない。
・検証すると、はっきり「その時点で声の大きかった産業=既に衰退しつつあった産業」に金を投入するだけの結果になっている。
実際、過去に日本で補助が強かった順に並べると、
1位 繊維
2位 鉱業(炭鉱)
3位 食料(農林水産業)
ですよ。
>医学部以外で1番優秀層だった情報系出た学生が軒並み鬱病・自殺に追い込まれて
失業率と自殺・犯罪・売春・離婚…が強く相関してるのは、例えば松尾匡「不況は人災です!」とか見てもらうといいと思います。
http://www.amazon.co.jp/dp/4480864032
長期的な「天井の成長」と、短期的な失業とか不況とかデフレとかは別問題で、対策も別です。
若者の自殺を減らすには、まずデフレを脱して失業率を減らすことです。
>北欧やNZが成功したのも、単純に成長分野にヒト・モノ・カネを配分した
だけの結果だと思うんだけど。
いや、NZの成功は、はっきりと反産業政策です。
「特定の産業だけを促進しようとしない」が国是ですから。
・特定産業への補助金や税制優遇はやめ、補助するなら産業中立的に
・競争促進を重視する。
このあたり、岩田規久男「「不安」を「希望」に変える経済学」に詳しいです。
http://www.amazon.co.jp/dp/4569790615/
まえG2010年10月15日 21:31
ピート@夏への扉さん:
>財政出動でどうにかなるというのは、
>ニューディールの失敗で証明されたと思います。
繰り返しますが、必須なのは金融政策です。
財政政策は、金融政策の働きを強めるのに使えば良い。
なお、大恐慌の終焉は主として金融政策による、というのが現代の定説です。
http://j.mp/cn0G5r
>国家の介入でどうになるというのは幻想にすぎないかと。
現在の管理通貨制は、完全に人工的なものですから、通貨をどれくらい刷るか・刷らないかというのも国家の介入によります。「自然な通貨量」とか「自然な金利」「自然なインフレ率」「自然な為替レート」なんていうものはありません。
もともとこれらは全て国家の介入によって決まっているわけですね。
ayumew2010年10月15日 22:38
>・政治家や役人や学者に、「この先成長する分野を、市場より上手に見抜く能力」などない(あるならビジネスマンになった方が良い)。
どういう理屈だろう。
ピート@夏への扉2010年10月15日 23:01
>・政治家や役人や学者に、「この先成長する分野を、市場より上手に見抜く
>能力」などない(あるならビジネスマンになった方が良い)。
ビジネスマンが成功するのって、結果論ですよね。
予め、どうやれば成功するかがわかっているならビジネスマンになった
ほうがいいだろうという揶揄ではないかと。「成功するのがわかってりゃ
苦労しないよ」と。
>まえGさん
>現在の管理通貨制は、完全に人工的なものですから、通貨をどれくらい刷る
>か・刷らないかというのも国家の介入によります。「自然な通貨量」とか
>「自然な金利」「自然なインフレ率」「自然な為替レート」なんていうもの
>はありません。
人工的に制御できるんなら苦労はしないかと思います。
政府は神ではないし、一プレイヤーにすぎないわけです。
他のプレイヤーよりかは金をもっているかもしれませんが、
全てを握っているわけじゃないでしょう。
介入したって、市場の気まぐれが全てを無にしてしまうと思います。
まえG2010年10月15日 23:51
>・政治家や役人や学者に、「この先成長する分野を、市場より上手に見抜く能力」などない(あるならビジネスマンになった方が良い)。
そういう能力が、政治家・役人・学者が訓練を受けた能力、身につけていると一般に期待される能力か? と言う意味です。 彼らが適役である理由があるか、と。
>人工的に制御できるんなら苦労はしないかと思います。
いえ、好むと好まざるとにかかわらず、常に人工的に制御しているのです。せざるを得ない。
もちろん、市場の動きすべてをコントロールできるわけじゃありませんが、「市場に手を出さない」というのは不可能ですよね。
日銀はマネタリーベースを決め、間接的に通貨供給量をコントロールしています。「日銀が決めない」とか「市場に任せる」というのは不可能です。
で、日銀の制御が上手か下手かによって経済は不安定にもなるし、(完全ではありませんが)安定化させることもできます。少なくとも、恐慌が繰り返された19世紀以前よりも、現在では不況がずっと早く収束するようになっています。
http://j.mp/cRp28t クルーグマン マクロ経済学要約「金融政策と総需要」
http://j.mp/daa8JW クルーグマン マクロ経済学要約「現代マクロ経済学の合意」
もちろん、不況を放っといたほうがいい・人々が破産したり死んだりするのを見過ごしたほうがよいんだと主張する人は未だにいます。どうもあんまり根拠のある議論ではないようですが。
http://j.mp/abfv1p
http://j.mp/915UQ1
ayumew2010年10月16日 00:15
揶揄じゃないでしょうね。
shin2010年10月16日 02:11
> 給料上げて景気が良くなるのが悪だってのは、新鮮な主張ではある。
私が言っているのは、『国民を差し置いて、公務員だけが高給取りを続ける、あるいは高給取りにしていくのは悪だ』、という意味です。現在の人事院勧告はこの視点から給与据え置きを続けていると思いますし、公務員を減らそうとしてきていると思いますので、私は人事院に賛成です。まずは民間の給料を上げるようにしないと。
全体的に上げようとするとインフレにしていくしかないのはそのとおりだと思います。将来インフレなら、今のうちに使おうとするので内需が強くなりますし。
でも、金融がゼロ金利で流動性の罠にはまった瞬間から、じゃあ他の手段でどうやって通貨供給を増やすかの話になって、ばらまきか、国債買取くらいしかなくなるわけですが、国債買取で金利を上げていって、今の850兆円とか900兆円とかの国債残高という財政が持ちますか?という問題になって、怖くて誰もできてないわけですよね。いつかはやるしかないんですが。
で、やっぱり国民背番号制だろうがなんだろうが、納税者番号制度を入れて戸籍も住民票も統合して死亡老人問題も解決、年金も解決する電子政府を一台公共事業として起こす(財政出動)と同時に、EITCも導入してばらまき(効果的な通貨供給)をやるってことですね。僕は一刻も早くそうなって欲しいのですが、今の政府ではなかなか期待できないというところではないか、と、、、。
まえGさんのお話のほうが正確だとは思いますが、単に通貨供給するだけだとどこにお金がたまるかが良くわからず、デフレ解消よりは円キャリートレードとかUS国債とかに使われたという話もあると思うので、どうやって通貨供給を増やすかはやはり腕の見せ所なんだと思います。
ayumew2010年10月16日 06:28
> 私が言っているのは、『国民を差し置いて、公務員だけが高給取りを続ける、あるいは高給取りにしていくのは悪だ』、という意味です。現在の人事院勧告はこの視点から給与据え置きを続けていると思いますし、公務員を減らそうとしてきていると思いますので、私は人事院に賛成です。まずは民間の給料を上げるようにしないと。
まずは、という話なら給料じゃなくて労基法守らせることでしょうね。
ピート@夏への扉2010年10月16日 07:15
なんか、この手の話になると、政府による国民管理を強化しようって
方向に流れて行くのがなんとも・・・・。
まえG2010年10月16日 08:25
>でも、金融がゼロ金利で流動性の罠にはまった瞬間から、じゃあ他の手段でどうやって通貨供給を増やすかの話になって、ばらまきか、国債買取くらいしかなくなるわけですが
もともと金利がプラスの時でも、金融政策で通貨供給を増やすのは買いオペ(対象は主に国債)です。国債買取というのは直接引き受けのことかしら。ただ、それは、公開オペでの市場からの買取とさしたる違いはないです(実際、借換分については毎年直接引き受けしています)。日銀が買いオペをやる気がないから、国会決議で強制的に引受させようという話が出ているだけで。
流動性の罠に陥ると難しくなるのは、一時的な金融緩和ですぐ期待インフレ率が上がるという事はなくなり、将来にわたって通貨供給を増やす・デフレから脱却しかけてもすぐに引締めたりしないと皆が信じなければ効果がないと言う点です。http://j.mp/aEqSJy
上は理論的なモデルの話ですが、実証的にも、大恐慌を止めたのは政策の枠組みの転換(レジーム転換)による人々の予測の変化だった事が分かっています。
http://www.amazon.co.jp/dp/4492371028
また、大恐慌の時にアメリカは「早過ぎる出口戦略」でデフレに逆戻りしてしまったそうですが、やはりはっきりしたレジーム転換の後は回復したとのこと。
http://www.amazon.co.jp/dp/4492394362
日銀は、今まで(2000年、20006年)デフレから脱却する前に金融を引き締めてしまった前科がありますから、今のままで信じさせるのは難しいでしょう。
そこで、誰が見ても「日銀が将来も金融緩和を続ける」と信じられるようにする仕組みとして、2%程度の下限つきインフレターゲットが提案されているわけです。
あとは、金利がゼロの短期国債(←マネーに非常に近い)を買いオペして量的緩和しても、マネーとマネーを交換しているようなもので効果が薄いから、長期国債を買うべきだという話もありますね。これはもちろんそうなのですが、ほぼ短期国債しか買わなかった量的緩和でさえ効果があって、デフレ脱却しかけた(日銀が早過ぎる引き締めさえしなければ脱却してた)という実証研究の結果があるそうです。
http://www.amazon.co.jp/dp/4894347296
で紹介されています。
つまり、国債の直接引受とかヘリコプターマネーのような冒険的な事をしなくても、今の「なんちゃって金融緩和」のままでも、せめて下限つきインフレターゲットがあれば、デフレから脱却できる可能性は大きく高まるわけです。
もちろん、少しでも早く確実に脱却するために、あとせめて量的緩和と長期国債の買い切り増額はやるべきだと思いますけどね。
これなら別に、国債残高が増えたりはしません。財政をわざわざ引き締めるのは馬鹿げてますが、財政赤字を増やさなくても、買い入れる国債はたっぷりあります。
まえG2010年10月16日 12:09
>円キャリートレードとかUS国債とかに使われたという話
円キャリートレードは、
1)低金利の日本でお金を借り
2)より高金利の通貨(たとえばドル)に換え(円売りドル買い)
3)その通貨建ての資産(たとえば米国債)に投資して利ざやを稼ぐ
という話で、結局最終的な「利ざや」が為替差損よりも大きい(円高が進まない)ことに賭ける投機ですね。
このステップを通してみると、「円が国外に流れる」とか「いくら金利を下げても円の通貨量が増えない」と言うのは正しくないことが分かります。
まず、ステップ1)(円での貸し出し)については、銀行が行うならば信用創造となり、円の通貨供給は増えます。
ステップ2)(外貨両替取引)では、円の通貨量は増えも減りもしません。円売りした人の口座から円買いした人の口座へ、持ち主が変わるだけです。
ステップ3)(外貨での貸し出し)については、外貨の供給が増えるかもしれませんが、円には関係ありません。
結局、円の金利を下げた結果、円キャリートレードが活発になった、あるいは日本国内で米国債を買う人が増えたならば、円の通貨供給が増えることはあっても、減るということはありません。ちゃんと日本国内への金融緩和になっていることがわかります。
shin2010年10月18日 19:23
不勉強で申し訳ございませんが、現時点ではまだ日銀は国債を公開オペとして買取していないのではないのでしょうか?これをじゃかじゃかやるより前にやるべきことがあるはずだというのが私の意見だったのですが、時間的猶予がなくなってきている気もする、という感じです。
また、実際に円キャリートレードで通貨供給が減ることはないでしょうけれども、国内にお金が還流したり、国内で儲ける人が出てこない限りは、デフレを解消するほどには通貨供給は十分ではない、ということになるのではないでしょうか?
将来、インフレになると思わせるまでデフレが続く、ということには賛成です。で、いくつかあるやり方で、どこに濃淡をつけて実施するかだと思うのです。週刊誌の釣り広告でも、『銀行しか儲からない』とか言って攻撃している気の短い人たちもいるので、なかなか難しいんじゃないかと思うのです。
まえG2010年10月18日 22:03
>まだ日銀は国債を公開オペとして買取していないのではないのでしょうか?
いえいえ、1966年からやっていますよ。
「教えて!にちぎん 日本銀行の金融市場調節手段にはどのようなものがありますか?」
http://www.boj.or.jp/oshiete/seisaku/02201001.htm
また、先に述べたとおり、公開オペでなく直接引受(財政法5条但し書き)も毎年やってます。
http://www.bb.mof.go.jp/hdocs/bxss010bh22.html の「特別会計予算書」PDFのp.2 第5条
現在の日本銀行勘定から国債の保有高を見ると、77兆円程度のようです。
http://www.stat-search.boj.or.jp/ssi/cgi-bin/famecgi2?cgi=$nme_a000&lstSelection=1
>これをじゃかじゃかやるより前にやるべきことがあるはずだというのが私の意見
既に大昔からとっくに使っている、普通の金融調節の手段で、増やすのに特に何の手続きも必要ない(行われていることすら知らない人が多いのですから、世論の反発なんてものもない)のですが、リーマン危機後、他の国が大幅に国債や他の資産の買い入れを増やし、引き換えに通貨を大量に供給したのに対し、日本は全然増やしていません。結果、円高デフレです。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/60?page=2
http://blog.nikkei-cnbc.co.jp/anchor/?p=1001 (←最後のグラフは、かなり衝撃的です。)
なぜ、FRBやECBやBOEが当たり前にできていることを日銀ができないのか、それでも何ら責任を問われず、総裁や政策委員が止めさせられることがないという制度に変えてしまった97年の日銀法改正が問題だったのだと思います。全く民主的ガバナンスが働かない制度になっている。これを改正して、他の国と同様に政策目標は議会が決め、その達成手段については専門家集団の日銀が独立性を持つという制度に変えようという動きがあります。http://j.mp/dyOwyv
>実際に円キャリートレードで通貨供給が減ることはないでしょうけれども、国内にお金が還流したり、国内で儲ける人が出てこない限りは、デフレを解消するほどには通貨供給は十分ではない、ということになるのではないでしょうか?
デフレを解消するほどには通貨供給が十分でないというのはまさにそのとおりです。円キャリートレードは関係なく、問題は通貨供給不足です。
円キャリートレードについて書いたのは、よく言われる「いくら金融緩和しても、円キャリートレードで海外に円が逃げるだけで、国内の通貨量は増えない」という意見がもし念頭にあるのでしたら、円キャリートレードで「海外に円が逃げ」たりしないし、円キャリートレードが国内への通貨供給を妨げたりはしない、という事を指摘しようと思っただけです。
> 週刊誌の釣り広告でも、『銀行しか儲からない』とか言って攻撃している気の短い人たちもいるので、なかなか難しいんじゃないかと思うのです。
「釣り広告」はなかなかうまい言い方ですねw という揚げ足取りは置いといて(「吊り広告」ですよね)。
銀行が儲けるのを嫌がる人はたしかに多いみたいですね。「ものづくりこそ尊い・虚業は滅びよ」みたいな職業差別系とか、銀行がどういう風に役に立っているか理解していない&自分の理解の及ばないものは不要だと決め付ける向きとか。
しかし、銀行が儲かるってことは企業投資が活発で貸し倒れもなく、つまり他の企業も儲かってる状態なわけですけどね。
財界や政界の人々や、エコノミストはさすがにある程度銀行を理解しているでしょうし、「金貸しは悪」みたいな俗っぽい勧善懲悪的な感情では動かないと思います。というか、そう信じたい。
ピート@夏への扉2010年10月18日 22:33
なんつうか、歴史から学ばないのは人類の仕様なんだろうかとか。
大恐慌はこれからくるのかもしれませんね。
shinji2010年10月18日 23:12
発行済み銀行券を越えないと言う制限があるわけですが、毎月一兆円ぐらいは買わないとだめな気がします。二兆円でも良いかな。
まえG2010年10月19日 08:42
ピート@夏への扉さん:
まさに、今の日本のデフレに際して学ぶべき過去の教訓について、
竹森「経済論戦は甦る」
田中「経済政策を歴史に学ぶ」
田中・安達「平成大停滞と昭和恐慌」
岩田編「昭和恐慌の研究」
中村「経済失政はなぜ繰り返すのか—メディアが伝えた昭和恐慌」
若田部「経済学者たちの闘い—エコノミックスの考古学」
などの書籍で語られているのですが、日銀には届かないようです。
(関連書籍リスト)http://j.mp/cKyASM
日銀の内部のガバナンスの実態について恐ろしい話がありました。
http://j.mp/bM0RQB
「個人的に印象深いのは、日銀の研究部門につとめるエコノミストが長期国債の買い取りをうったえる論文を経済誌に発表したところ、紙幣や硬貨を洗浄する肉体労働部門に異動させられた、という痛ましいエピソード。」
また、恐慌に至らずとも、マイルドなデフレそれ自体が問題であるとする論考もあります。
「小幅で頑固な日本のデフレーションは問題か?」
http://voxwatcher.blogspot.com/2010/04/blog-post_12.html
shinjiさん:
実は、長期国債だけでも毎月1.8兆円買ってはいます。ところが、長期国債とは名ばかりで、実は「10年ものだけど残り年限1年」などという、実質的な短期債ばかり。しかも、満期償還される額の方が多いので減っているような有様でした。
http://d.hatena.ne.jp/Yasuyuki-Iida/20090321#p1
今月の金融政策決定会合で日銀が発表した緩和策の中に、「銀行券ルールと別枠の基金を設立し、国債やETFなどを買い入れる」というものがあり、これ自体は評価すべきでしょう。しかし、
・買い入れ額がなんとたったの「年5兆円」。
・買い入れる国債は、残存期間1〜2年の実質短期債限定。
という問題があります。
「日銀の「見かけ倒し」の金融緩和」
http://d.hatena.ne.jp/Baatarism/20101010/1286696128
shin2010年10月21日 11:26
最終的にリフレにしていくのは誰も反対していないと思うのですが、現時点では日銀は何か理由があって何かに抵抗しているんじゃないですかね?デフレで儲けてる人に遠慮してるとか、まず年金問題と財政問題で誰か責任を取るのを見届けてからにするとか。
責任の押し付け合いというところもあるとは思いますが、日銀の考えを聞きたいところですね。僕個人は現在の最大産業であるIT系の公共投資とEITCの導入のほうが先になったほうがいいと思ってたのですが、榊原英資みたいに積極的にしゃべる人が今の日銀にはいないのかな?
まえG2010年10月21日 12:23
日銀の公式見解は(いろいろとブレてますが)基本的に以下のような突っ込みどころ満載の見解を繰り返しているだけです。
・日銀はできることを精一杯やっている
(せめて諸外国程度の事をやってから言え)
・これが日本の実力の限界。生産性が低下したのが問題
(供給が減ったならインフレになるはずだろ)
・金融政策ではどうにもならない
(なら、全国に31もの支店を要し、総裁以下審議委員が3千万円以上の高給を取る日銀など不要では?)
・したがって成長産業への投資が大事
(そういう「長期の天井の成長」は日銀の任務か?それ以前に「短期の需要の制約」をさっさと何とかしろ)
たとえば、
http://sankei.jp.msn.com/economy/finance/101011/fnc1010110046000-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/economy/finance/100521/fnc1005211815020-n1.htm
http://journal.mycom.co.jp/news/2010/06/15/063/index.html?rt=na
ヒドいものです。
しかしもちろん、現行制度では日銀がリスクを取って問題を解決するインセンティブなんて無いわけです。実績に関係なく、任期まで高給が保証されているのですから。
こういう状態を繰り返して20年になるわけですが、隠れた意図などを云々するよりも、このインセンティブ構造を改善する(日銀にとってよい行動が、国民にとってもよいことになるようにする)制度改革が必要だと思います。
本来なら1〜2年で解決できた低迷が20年。その結果の惨状が:
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20100216/212780/?P=4
失業率が自殺や犯罪と強く相関していることを考えると、
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/2740-1.html (松尾「不況は人災です!」にもっと詳しいデータがあります。)
この20年でいったい何万人が、日銀のせいで全く必要でも何でもない死に追い込まれたかと考えると…
ayumew2010年10月21日 22:06
日銀のひと、お金が好きなんでしょうね。
shin2010年10月24日 19:01
この週末に、僕の持てるネットワークを最大限に活かしてやっと飲み会で又聞きの日銀の噂を仕入れてきたんですが、日銀は自分たちで何かができるとは思ってないし、何かをやったときの影響を恐れているそうです。
しかし、そこで終わっては不幸だと思います。日銀が世間離れしてしまって対話が進まないところが不幸です。世の中で不幸なことは、意見がまったく会わない人々と対話が断絶した結果、説得する方法を失うことだと思うのですが、日銀とリフレ派の人の対話がないとしたらやっぱり不幸だと思います。交渉というのはいつの時代も高度な知性が必要なんでしょうから、さまざまな場面で交渉が継続することを期待します。
ピート@夏への扉2010年10月24日 21:25
どっかの誰かが面白いことを言っていました。
デフレと円高を終わらせたければ、日本政府と日銀が国債の利払いを
停止すればいいと。そうすれば、信用を失った円は限りなく下落して
いき金利は暴騰しデフレは終結するだろうと。
普段意見が対立(というか、僕が気に入らないだけ)している人ですが
利払い停止に関しては大賛成です。てか、政府・日銀の出来ることって
それくらいじゃないでしょうか。
shinji2010年10月24日 22:18
ほとんどゼロに近いものの利払いを止めたって。それにデフレ込み/円高で買ってる人も多いから利払い停止ぐらいでは。そもそも利息狙いなら、日本の国債なんて買わない。
たぶん、なんか思い違いがあると思う。日銀は所詮、官僚。法律で命令しない限り動きません。
まえG2010年10月25日 12:33
shinさん:
>日銀は自分たちで何かができるとは思ってないし、何かをやったときの影響を恐れているそうです。
いつも通りの言い訳ですよね。いくら批判されても10年以上全く同じ事を言い続けている。
「自分たちで何かができるとは思っていない」って…本当にそういう何の役にも立たない組織ならさっさと仕分けしてしまうべきなわけですが。
日銀は97年の法改正で「何もしなくても責任を問われない」という特権を手に入れました(それ以前は、大蔵大臣に業務命令権や総裁の解任権があった)。ですから、わざわざ失敗のリスク(←どんな政策だろうと、ゼロではありえない)を犯す必要などないのはたしかです。
したがって、shinjiさんのおっしゃるとおり、この仕組みを変えない限り日銀は動かないでしょうね。
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ピート@夏への扉さん:
>デフレと円高を終わらせたければ、日本政府と日銀が国債の利払いを
停止すればいいと。
国債デフォルトですか。政府・日銀を含めた広義政府(統合政府と言います)の立場で見ると、かなり馬鹿げた話であるのは確かですね。
国債が約束するのは「期限にXX円払います」という事。そして円を刷るのは統合政府自身。普通に考えたら(物理的に印刷が間に合わないhttp://d.hatena.ne.jp/yumyum2/20090204/p2 なんてことがない限り)約束を破る心配をする必要はありません。
また、日本の借金の相手は日本国内居住者(国債の購入者は海外にもいるが、海外に貸している額を差し引きすると日本は債権国)ですから、極論すれば増税して国債を一気に返してしまうのも、国債を踏み倒してチャラにしてしまうのも、国内の中でお金が動くだけ、国内問題ですから、まあアルゼンチンやギリシャみたいに外貨建て債務が膨れ上がるとか、お金が借りられなくて経済が立ちいかなくなるなんていう心配も当面ありません。
つまり、自国通貨建て・内国債でデフォルトの心配をするバカはいない。
上念司「日本は破産しない!」http://j.mp/cipWif
え、「わざと」利払い停止したら大ショックで問題が解決する「かも」…?
そんな難しいことするくらいなら、少々お金を刷る方がずっと簡単に思えるんですけどねえ…
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また、shinjiさん:
>ほとんどゼロに近いものの利払いを止めたって。それにデフレ込み/円高で買ってる人も多いから利払い停止ぐらいでは。そもそも利息狙いなら、日本の国債なんて買わない。
日本の「名目の」金利は低いですけど、インフレ率を考慮した「実質の」金利は米国より高いです。
名目金利=実質金利+期待インフレ率
実質金利=名目金利−期待インフレ率
http://www.bb.jbts.co.jp/data/index_bei.html 青が物価連動国債の実質金利(1.5%程度)。赤が「名目-実質」で算出した日本の期待インフレ率(breakeven inflation rate)-0.7%程度(?)。
http://www.bloomberg.co.jp/markets/rates.html 日本の名目金利
http://www.bloomberg.com/apps/quote?ticker=USGGBE10:IND 米国のbreakeven inflation rate
http://www.bloomberg.com/markets/rates-bonds/government-bonds/us/
米国の10年もの実質金利=名目金利(2.54%)−期待インフレ率(2.11%)≒0.43%
円で測った日本の名目金利の方が、ドルで測った米国の名目金利より低いのに、期待インフレ率(通貨価値の期待変動率)を差し引いた実質金利で比べると日本の方が高い…つまり、「将来ドル安円高になるだろう」と市場が予測していることになります。
この状態(円が足りないので円の価値が上がる=実質高金利、米国は金融緩和で実質低金利)が続くなら、円高が進んでいくのが自然ということになります。
円が買われる傾向なのに、なぜ日本が貸す(日本から流出する)お金の方が多いかと言うと、それはもちろん日本国内に投資機会がないから。
http://j.mp/97gPgW
経常黒字が増え、会計恒等式からそれが資本流出額と等しくなります。
「不況で貿易黒字は増える」http://synodos.livedoor.biz/archives/1551982.html
ピート@夏への扉2010年10月25日 22:11
「日本は貯蓄が多いから、まだまだ大丈夫」って意見はよく聞きますが、
そういうことを言っている人たちはその金が誰のものかわかっているのかと
聞くたびに思います。
「どうせ金持ちたちの金だ」という、妬みとか嫉みとかはともかくとして
金持ち連中だって日本国民なわけで、国民の財産を浪費して「まだ大丈夫」
といっている政治家だとかその片棒を担いでいる者達は僕は信用ならないと
思っています。
重要なことだから何度も言いますが、日本国民の貯蓄は国家/行政府のもの
ではありません。貯蓄している人たちのものです。どうも、他人の金という
ものに対するモラルがここ数年のハチャメチャな政策で薄れてきているよう
です。これじゃ、いくらい経済や財政を立て直してもまた同じことの繰り返
しですね。一度人にたかることを覚えた者は容易には更生できません。
僕は国民の貯蓄を政府がいいように使うことには絶対に反対です。
僕自身は全く貯蓄はないですが、他人の財産の収奪の片棒を担いでそれで
自分の生活をよくするくらいなら木箱を作りながらでも細々と生計をたてる
道を模索します。どうにかしている。
ayumew2010年10月25日 23:58
何を食って育ったら金とか土地を所有できると思ってしまうのでしょうか。
デフレの前提としてそういう卑しいひとの存在がありそう。
shinji2010年10月26日 00:36
まぁ、単純に所有が悪いって言っても、じゃぁ、分配どうするって話になるだけなので。家計に貯蓄があったのは昔の話ですね。貯蓄は企業と銀行に移りました。ピートの前提は10年古い感じ。
折角、たくさん書いてくれたから、まとめてopen なblogにコピペしようと思ってます。良いですか?
まえG2010年10月26日 09:33
ピート@夏への扉さん:
>日本国民の貯蓄は国家/行政府のものではありません。貯蓄している人たちのものです。
(日本の政府って日本国民のものじゃないんですか? なぜ「政府vs国民」という話になるのかわからない…というのはひとまず置いておいて。)
まずは単純な算数の話を。世の中の債務の額と世の中の債権の額は恒等的に等しいです。
日本国民の貯蓄(というと聞こえはいいが、誰かに貸している金)が増えて、日本は海外からの借金がない(どころか貸している)んですから、日本の誰かの借金が増えるしかないですよね?
本来なら、リスクを取って個人から金を借りて投資する企業部門が、デフレで売上が伸びず実質金利の高い今の日本では借金できない(投資の実質期待収益が、実質金利より低い)。
個人も企業も、民間部門の貯蓄(債権)が増えるなら、当然に公的部門の債務が増えるしかないですね。
>僕は国民の貯蓄を政府がいいように使うことには絶対に反対です。
(政府は国民の代表が動かしてるんじゃないの?政府のやることに国民の責任はないの?…というのは置いておいて。)
国の債務を減らすには、デフレを脱却するしかないです。2〜3%程度のマイルドインフレになり、景気が良くなって他の先進国程度の2%程度の実質成長経路に戻れば、名目GDPは年4〜5%増える。フル稼働の水準まで戻る過程では、一時的にもっと高成長が期待できます(現在、フル稼働水準とのGDPギャプは30兆円(約6%)以上あると推定されています)。所得税や法人税の累進構造から、名目GDPが1%増えると税収はそれ以上に増えます。
逆に、デフレになり、高失業で(←インフレ率と失業率には強い逆相関があります)実質成長が阻害されている現状では、税収は大きく減ります。
森公一郎さんの財政赤字カリキュレータ
http://cloudy9.fc2web.com/mgodz.html
ピートさんのリバタリアン的な嗜好にも、岩田規久男先生の「「不安」を「希望」に変える経済学」
http://www.amazon.co.jp/dp/4569790615
「小さな政府」を問いなおす
http://www.amazon.co.jp/dp/448006320X/
なんかは、けっこうマッチするんじゃないかなあ。徹底して小さな政府を主張されてる方ですから。
shinjiさん:
>折角、たくさん書いてくれたから、まとめてopen なblogにコピペしようと思ってます。良いですか?
私としては、是非お願いしたいくらいです。
shin2010年10月26日 12:53
shinjiさん:
>折角、たくさん書いてくれたから、まとめてopen なblogにコピペしようと思ってます。良いですか?
私も是非そうして欲しいです。まだ日銀との対話が十分ではない感じがしているので、日銀も交えた議論が活発化して欲しいです(命令するしかないってのはなんか悲しいです)。日銀はきっと、リフレ派の主張は百も承知で、それでも『お金を借りて、利子つけて返すのが商売だろう。一人一人がそうすればデフレは脱却するのだ。その原則はできるだけ変えたくないし、物価が下がってるんだから大多数の庶民は喜べよ』って思ってると思いますので、どこまでデフレを放置すべきか、どこまで行ったら対処すべきかの議論が将来に教訓として残るのが望ましいです。
まえG2010年10月26日 14:51
shinjiさん:
>まだ日銀との対話が十分ではない感じがしているので、日銀も交えた議論が活発化して欲しいです(命令するしかないってのはなんか悲しいです)。
うーむ、岩田・翁論争に始まる20年近い論争の歴史を見ると、「対話すれば何とかなる」という希望は個人的に全く持てないんですけどね。
誤解されているのかもしれませんが、日銀は日本国民を苦しめる政策を続けていますが、日銀職員の責任とは言い切れないと思っていますよ。法的に、デフレから脱却すべき理由・日本国民の生活を向上させる努力をする義務など日銀にはないのだし、現状でリスクを取って彼らに得なことなど無いのだから。
しかし、日本の物価をコントロールできる唯一の機関が物価をコントロールすべきインセンティブを持たないというのは制度設計ミスでしょう? それを正すべきだと言っています。
>『お金を借りて、利子つけて返すのが商売だろう。一人一人がそうすればデフレは脱却するのだ。
それはありえませんよね。一人ひとりのミクロな主体が努力するほど、全体が不幸になるマクロの「合成の誤謬」がデフレ不況なわけですから。そもそも利子(実質金利)は日銀が決めるもの、それによって個々の主体は楽にも苦しくもなるものですよね。
「経済を子守りしてみると」http://cruel.org/krugman/babysitj.html
を読めば分かると思いますが、マクロ経済政策でしか解決できません。
> その原則はできるだけ変えたくないし、物価が下がってるんだから大多数の庶民は喜べよ』
「物価が下がる」と言ったときには、食料品やエネルギーなどの支出の価格だけが下がること(←相対価格の変化)ではなく、労働の対価である賃金も含めた全ての価格水準が下がることをいいますよね。だから庶民が喜ぶ理由は別にない。
もちろん全てのものが一様に同じペースで下がるわけじゃなくて(それならインフレだろうとデフレだろうと経済に影響はない)、過去の借金の額は減らない(だからリスクを取る積極的な企業ほど苦しくなるし、新たに借りようという人は減る)し、名目賃金には硬直性があるので失業が生じてしまう。
したがって、インフレとデフレは全く非対称で、マイルドな(年に数%程度の)インフレに計測できるような害はないとされているのだけれど、たとえわずかであってもデフレには大きな害がある。
>どこまでデフレを放置すべきか、どこまで行ったら対処すべきかの議論
なんてのは、専門家の間ではありえないです。放置すべき場合なんて考えられない。
http://d.hatena.ne.jp/Hicksian/20081208
大恐慌の恩恵その3
「デフレーションはマクロ経済的な死の宣告である、ということが理解されるようになった」
だからこそ、欧米英は必死でデフレに陥るのを避けようとしているわけです。合言葉は「日本みたいになるな」。
http://www31.atwiki.jp/anti_deflation/#Q15
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/60?page=2
shin2010年10月26日 15:19
まえGさん、私がそういってるのではなくて、そう考えているんだろうと私が日銀の意見を想像しているに過ぎないので、ご安心ください(笑)。
また、どこまでデフレに耐えるべきかという言葉が悪ければ、インフレ率の上限下限がどこまで耐えられるかの基準でもいいです。そういうのが次への知恵になると思うのです。
> 「対話すれば何とかなる」という希望は個人的に全く持てないんですけどね。
アメリカ人の人々と話す機会が多いのですが、多くの(あるいは一部の?)アメリカ人の尊敬すべき点は、決して対話をあきらめないところなのですよね。ハーバードとかの伝統にそういうのがあるんだと思います。
> http://d.hatena.ne.jp/Hicksian/20081208
> 大恐慌の恩恵その3
このブログでも述べられているように、こういう時ってセーフティネットの整備のチャンスだと思うんですよね。リフレもいいんですが、現制度がそのまま改善されないのももったいない。転んでもただでは起きないためにも、EITCや所得補助などのセーフティネットが遅ればせながら日本でも整備されることを私は同時に望みます。